簡単な状況ではありませんでした。たくさん点を取られて負ければ、相手に優勝を与えてしまう。勝つか引き分けで、自分たちが優勝できる。難しいというか、不思議な感覚でした。
そんな中、特に2点目など素晴らしいゴールでした。退場者が出てしまいましたが、自分たちは守ることなく攻め続けたうえ、3点目をゲットすることができました。選手たち、そしてスタッフを誇りに思います。
FC東京さんは強かったです。簡単な相手ではありませんでした。しかし、勝者は私たちです」
質問:こういうサッカーをするために、選手にどういうアプローチをしてきたのでしょうか? たとえば今日退場したパク イルギュ選手には、どういう言葉をかけてきたのでしょうか?
「パク選手に関しては、彼がやらなければいけない、積極的に前に飛び出していくプレーをしてくれたと思います。あのジャッジについては、だいぶ遅れて判断が下されたと思うのですが、ちょっと不思議な感じではありました。彼は本当に、責任感を持って前に出たと思いますし、彼が目指したプレーがしっかりとできたと思います。
10人になると多くのチームは守りに入ると思うのですが、結果、3点目が取れました。そういう部分でもメンタルの強さが表れました。本当に選手たちが誇らしいです」
質問:シーズンの中でかなり選手の入れ替わりがありながらも、クォリティーを維持して優勝することができた。その一番の理由は何ですか?
「理由は一つ。自分たちのサッカーを信じてやって来たことです。
今日の試合、扇原が累積となり、プラス大津がケガで出場できませんでした。その中で和田が久々に出たのですが、やはりやるべきことが分かっている選手です。これはチーム全員に言えるのですが、今までの日々の努力の積み重ねによって、誰が出ても、特別なことをやるのではなく、同じようにやるべきことが分かっていて、それができるのです。
不運にもケガをしてしまいましたが、エジガル選手が、前半から活躍して11ゴールと素晴らしい結果を出してくれました。彼のゴールがなければ、自分たちは今のこの順位にいることはできなかったと思います。
自分たちがやろうとしているサッカーを、どれだけ信じてやるかだと思いますし、それがこの結果につながったのだと思います」
質問:あなたはオーストラリア・リーグでも素晴らしい実績を残し、そしてJリーグでもこのような結果を手にしました。今、優勝を成し遂げて、どういう心境ですか?
「自分は、本当に結果についても満足しています。
新しい国、新しいリーグでやる、特にこのJリーグというのは難しいリーグだと思います。自分にとっては、本当に意欲を持ってチャレンジしようと臨みました。
私は、自分のメソッドを信じています。そのメソッドが通じれば、必ず結果は出ると思っていました。
我々のチームは15年も優勝から遠ざかっていました。先週、選手たちに“15年間待ち続けたサポーターのために、ホームでもアウェイでも、どんな時でも自分たちを応援してくれたサポーターのためにも結果を残そう”と伝えました。
2013年、このクラブは本当に悔しい想いをしました。それをしっかりと頭に入れながら、今年しっかりとタイトルを獲ろうと考えていました。
簡単なことではなかったのですが、選手たちが本当に素晴らしいプレーをしてくれました。本当に良かったと思います」
質問:長いシーズン中には苦しい時期、うまくいかない時期もあったと思うのですが、そこをどのようにして乗り越えてきたのでしょうか?
「自分は、順調という状態よりも、メディアなどの方々が“大丈夫だろうか?”というような状況になっている時が、一番ワクワクします。映画でも、もうストーリーが分かっていてハッピーエンドで終わるような展開は面白くありません。
“どうなっていくのか?”という状況を、自分はいつも楽しみにしています。クラブ、そしていつも応援してくれるサポーターの皆さんが、ずっと協力してくれていましたし、熱いサポートが本当にありがたかったです。
うまくいっていないとき、自分は“どうしよう”と思うことはまったくありません。今日の結果を見てください。去年とは全然違います。シーズン前に皆さんが“大丈夫か”と思ったことが、まったく問題なかったでしょう。
うまくいかなかったときでも、自分は動揺することなく、強い気持ちで信じてやっていくことが自分のスタイルです」
質問:攻撃的なサッカーを続けることは難しかったと思うのですが、どういうアプローチで、これを成し遂げたのでしょうか?
「特別な何かをするというより、難しければ難しい時にも、どれだけ信じてやっていくかが重要です。
そしてお互いに日々高め合い、ホームでもアウェイでも、やるべきことを強い気持ちでやっていくことが大事です。これらを私は、常日頃から言い続けています。
順位が、1位だろうが2位だろうが3位だろうが関係なく、最後まで自分たちのサッカーをやり続ける。そういうところだと思います。
選手たちには、“うまくいかなかったら自分が責任を取るから、とにかく信じてやっていってほしい”と言っています。選手たちには、プレッシャーを感じず自由にプレーしてほしいと考えていました。
直近の15試合、20試合でもたくさんのゴールが取れましたし、今年は、日々の成長が多く見られました。“呼吸をしているように、自分たちは自分たちのサッカーを自然にやっていくように。そしてプレッシャーを感じずにやることが大事だ”と選手たちに言ってきました。“負けたらどうしよう、失点しまったらどうしよう、退場者が出たらどうしよう、ケガ人が出たらどうしよう”などと思ってプレーしていたら、今日のような日を迎えることはできなかったでしょう。
結果、選手たちは強くなり、日々の努力がこうやって報われたのです」
質問:ちょっと早いかもしれませんが、来シーズンは、どういうサッカーを見せてくれるのでしょうか?
「来年のことが気になるかもしれませんが、自分たちは優勝したばかりです。
自分たちは続けてやっていきたいと思っています。この攻撃的なサッカーを、止まることなく、やり続けることは確かです。
そして、より良いチームに成長していきたいですし、成長できるチームだと思います。
チャンピオンになった翌シーズンというのは、簡単ではありません。ですが、自分は連覇をしたいという気持ちを強く持っていますし、先ほども言いましたが、自分たちがやっているサッカーを続けてやっていこうと思っています。
自分は賑やかに騒ぐのが好きなタイプではありませんが、今日まで日々努力してきた選手たちは、祝い合うことをしていいと思いますし、やるべきだと思います。
そして来シーズン、プレシーズンの初日をどういうふうに迎えるのか、今から楽しみです」