
いよいよサウジアラビアでACL ELITE FINALS JEDDAH 2025の幕が開く。昨年5月、前身大会のACL決勝で惜しくも涙をのんだ横浜F・マリノスにとっては、悲願のアジアタイトルという“忘れ物”を取りにいく意味合いを持つ。
横浜F・マリノスのFINALS初戦となる26日の準々決勝で待ち受けるのは、ポルトガル代表のクリスチアーノ ロナウドを擁する西地区の雄・アルナスル(サウジアラビア)。ロナウドを筆頭とするスター集団との真剣勝負の場で、我らトリコロールがどう立ち向かうのか。サッカーファンでなくとも胸が高鳴る垂涎のカードである。
<世界につながるACLE>
まずはACLエリート(以下、ACLE)について整理する。
ACLとは、AFCチャンピオンズリーグの略称。その名の通り、アジア各国のリーグ王者などトップクラブが争う国内リーグの上位大会の位置づけとなる。24-25シーズンから“アジアの戦い”の価値向上のため、ACLEに模様替えし、出場要件を厳格に定めるとともに賞金総額を大幅アップ。今大会の優勝賞金は1000万ドル(約14億2000万円)に設定されている。
出場するメリットは経済的な面だけではない。優勝クラブには次回大会の出場権を付与される。その権利を持たない横浜F・マリノスには魅力的なご褒美だろう。さらに4年に一度、各大陸王者など総勢32クラブが集結し、世界№1クラブを決めるクラブW杯の出場権が与えられる。今大会に優勝すれば、29年大会の出場切符を手にできる。
いわば、ACLエリートは世界への扉となる玄関口。その先のステージに進むことができれば、“YOKOHAMA F・MARINOS”の名を全世界に発信できる機会が確約される、夢と希望が広がるコンペティションなのだ。
<アジア7連勝中>
ここからは横浜F・マリノスの歩みを簡単に振り返る。昨年9月に始まった東地区リーグステージは12チームが参戦し、海外勢と8試合を戦って上位8チームがノックアウトステージに進出できるシステム。最終節前に山東泰山(中国)が撤退し、対戦済みの試合が無効となったため、最終的には横浜F・マリノスは6勝1敗の勝点18での首位通過となった。
FINALS進出が懸かったラウンド16はホーム&アウェイ方式で上海海港(中国)と再戦。アウェイでの第1戦をアンデルソン ロペスのゴールを守り切って先勝すると、ホームでの第2戦では自慢の攻撃陣が爆発して大量4得点。2戦合計を5―1とし、破竹の大会7連勝でサウジアラビアへの切符を手にした。
では、横浜F・マリノスが準々決勝で対戦するアルナスルはどのようなクラブなのか。首都・リヤドを本拠地とし、近年は潤沢なオイルマネーを生かし、欧州リーグからスター選手を引き抜いてきた。ロナウドだけにとどまらず、サディオ マネ(セネガル)、ジョン デュラン(コロンビア)、マルセロ ブロゾヴィッチ(クロアチア)、アイメリク ラポルテ(スペイン)ら各国の代表クラスをずらりと揃える。
特にロナウド、マネの2トップに加えて、左SHデュランの破壊力は抜群。一方で、守備面では緩さも見られるだけに、横浜F・マリノスの守備陣が踏ん張りつつ、攻撃陣がチャンスを仕留められるかが勝敗を分けることになるそうだ。
日本時間26日26時30分にキックオフされる試合の模様はDAZNで生中継。日本の早朝の時間帯ではあるが、そこには国内では味わえない興奮がある。現地に赴くファン・サポーターはもちろん、デバイスの前から遠く中東で奮闘するトリコロールを応援しよう!
Text by 大林洋平
14年間、勤務した地方新聞社を経て、17年からサッカー専門新聞『エルゴラッソ』のジェフユナイテッド千葉担当。横浜F・マリノス担当となった20年からACL取材を始める。22年にベトナムで集中開催されたグループステージをはじめ、23-24大会ではメディアで唯一、横浜F・マリノスの全14試合を現地で取材した。猫好きの46歳。